イベントレポート
「短角牛と地域と、先輩と。語ろう“働く”のかたち」
企画者の熱意が生んだ、学生と現場の「まっすぐな出会い」
農学部動物科学科の高橋さんが企画・主催した交流イベント「短角牛と人と地域と。」が、熱気あふれる雰囲気の中で開催されました。
久慈市の地域おこし協力隊として畜産に携わる獣医師・照井周二さんをお招きし、久慈で短角牛に関わるようになるまでのストーリーや、現在の取り組みについてじっくりとお話をうかがいました。
畜産のリアルな課題、キャリアの悩みや転機など、教科書では聞けない話が次々と飛び出し、畜産を学ぶ学生たちが、現場で活躍するプロフェッショナルや地域の方々と、真正面から向き合って語り合う時間になりました。

学生と現場をつなぐ「はじめの一歩」
高橋さんがこのイベントを企画した一番の理由は、「学生が現場の方と直接話す機会が本当に少ない」と感じていたからでした。
「特に低学年の学生にこそ、畜産の面白さや、将来の進路を考える“入口”になる場をつくりたい。」
そんな思いが、この企画の出発点です。
「現場に行くことももちろん大事ですが、まずは身近な大学の中で、みんなで一緒に喋ってみる機会を先に作ってみたかったんです。」
インターンシップなどを通して自分が出会った“現場の人たちの面白さ”を、もっとたくさんの学生に届けたい。
そのシンプルでまっすぐな熱意が、今回のイベントを動かす原動力になりました。
一方通行じゃない「双方向のコミュニケーション」
イベントをつくるうえで、高橋さんが何より大事にしたのは、ゲストが話して学生が聞くだけの「一方通行な講演会」にしないこと。
「全員で話し合う時間にしたい」という思いから、質問しやすい雰囲気づくりや、座席の配置、プログラムの流れなど、細かな部分にも工夫を重ねました。
また、チラシやポスターのデザインも、「ちょっと行ってみたい」と思ってもらえるように世界観を統一。
その結果、学生だけでなく、教員や地域で働く社会人など、立場も年代もさまざまな人たちが集まる場になりました。

当日のハイライト
短角牛の試食体験が大盛り上がり!
イベント当日は、岩手県を代表する短角牛の試食も用意。
ひと口食べた瞬間、参加者の顔がぱっと明るくなり、「おいしい!」「もっと食べたい!」という声があちこちから上がりました。
おかわりを求める参加者も続出。
「よっしゃー!と心の中でガッツポーズしました」と、高橋さんも思わず笑顔に。
岩手の畜産が生み出す“おいしさ”を通して、短角牛への興味が一気に高まった瞬間でした。
目的どおり「活発な対話」が生まれた時間
トークセッションでは、「畜産に対して、これまでどんなイメージを持っていましたか?」
「これからどんなことを学んでいきたいですか?」といった問いかけをきっかけに、学生たちから率直な言葉が次々に飛び出しました。
それに対して、照井さんや地域の大人たちが、自分の経験や失敗談も交えながら本音で応えていくうちに、会場はまさに“対話の場”に。
当初目指していた「相互交流」がしっかりと形になり、「イベントの目的を達成できた」と、高橋さんも手応えを感じていました。


悩んだら、まずは「誰かに話してみる」
もちろん、イベントづくりの過程は順風満帆だったわけではありません。
「人が集まるだろうか」「本当に自分にできるだろうか」と、不安で足が止まりそうになった時期もあったそうです。
それでも、高橋さんは授業の前に教室で宣伝するなど、地道な行動を積み重ねていきました。
少しずつ参加者の輪が広がり、「応援してくれる人」が目に見える形で増えていきました。
これから何かに挑戦したいと考えている学生へ、高橋さんからのメッセージです。
「何かやってみたいという思いがあるとき、一人で抱え込まず、まずは周りの友達に『こういうことをやってみたいんだ』と相談してみてほしいです。
話してみたら、『面白いね』と賛同してくれて、一緒に協力してくれる人が意外と身近にいます。
協力者がいると、アイデアも準備も補い合いながら進められるので、ぜひ一歩踏み出してみてください。」
迷ったときこそ、“誰かに話してみること”が、挑戦のスタートラインなのかもしれません。
挑戦は、もう次のステージへ
高橋さんの挑戦は、まだ始まったばかりです。
今回のイベントは、早くも第2弾を来年1月に企画中とのこと。
さらに、岩手イノベーションスクール(イノスク)にも参加し、自身のテーマで「社長」としてプロジェクトに取り組んでいます。
今後は、イノスクでの活動を通じて、岩手県の行政の方々など、より多様な人たちに自分のアイデアを伝え、フィードバックを受けながら、活動の幅をさらに広げていきたいと意欲を語ってくれました。
学生としての学びと、現場とのつながりを自分の手で切り開いていく高橋さん。
その姿は、同じキャンパスで学ぶ仲間たちにとっても、大きな刺激になっていきそうです。
高橋さんのこれからの活躍にも、ぜひご注目ください。

