イベントレポート
「こんなまちがあったらいいな」を形に。学生と企業が一緒に楽しんだ、理想のまちづくりコンテスト
2026年6月18日、TOVLABにて、中央コンサルタンツ株式会社仙台支店の皆さんによる「理想のまちづくりコンテスト」が開催されました。
今回使用したのは、建物や道路、木々などを自由に配置し、まちの風景を立体的に表現できる3Dビジュアライゼーションソフト「Twinmotion(ツインモーション)」です。
参加した学生たちはグループに分かれ、「こんなまちがあったらいいな」というアイデアを出し合いながら、それぞれの理想のまちを形にしていきました。
開催後、イベントを振り返りながら、仙台支店支店長の長太さん、総務部長の佐藤さん、設計部に所属する岩手大学OBの小室さん、同じく岩手大学OBの及川さんの4名に、企画に込めた思いや準備の裏側、当日の学生の様子、今後取り組んでいきたいことについてお話を伺いました。
実際の仕事を、まずは楽しく体験してほしい
中央コンサルタンツは、道路やまちづくりをはじめ、私たちの暮らしを支える社会基盤の計画や設計に携わる建設コンサルタント会社です。
イベントのはじめには、建設コンサルタントがまちづくりの中でどのような役割を担っているのか、社員の皆さんから紹介がありました。

近年は、実際の業務の中でもTwinmotionのようなデジタルツールを活用する機会が増えており、若手社員にとっても身近な存在になっています。
今回のイベントを企画した背景について、佐藤さんは、次のように話します。
「普段、社員が仕事で使っているソフトを、学生の皆さんにも実際に触ってもらいたいという思いから企画しました。」
開催時期を6月にしたのも、学生が本格的にインターンシップや就職活動を考え始める前に、まずは楽しみながら業界や仕事に触れてほしいという思いがあったからです。
会社説明を聞くだけでは、なかなかイメージしにくい仕事もあります。
だからこそ、自分の手でソフトを動かし、一つのまちをつくってみる。そんな体験を通して、これまで知らなかった仕事を少しでも身近に感じてほしいという思いが、今回の企画の出発点になりました。
学生が楽しめる時間を目指して、何度も作戦会議
イベントの準備が本格的に始まったのは、開催のおよそ2か月前。
社員の皆さんは、ソフトを初めて使う学生でも、限られた時間の中で無理なく楽しめる内容にするため、何度も打ち合わせを重ねました。
入社2年目の小室さんは、準備の様子について次のように振り返ります。
「まったく経験がない人でも、スムーズに楽しく取り組めるようにするにはどうしたらよいか、何度も作戦会議をしました。」
さらに、Twinmotionをほとんど使ったことがない入社1年目の社員にも協力してもらい、本番と同じ時間配分でリハーサルを実施しました。

説明が分かりにくいところはないか、操作に時間がかかりすぎないか、学生同士が相談しながら進められる内容になっているか。
実際に体験してもらいながら一つひとつ確認し、当日に向けて内容を整えていきました。
そこにあったのは、企業が伝えたいことを一方的に届けるのではなく、参加する学生の立場に立って、一緒に楽しめる時間をつくりたいという思いです。
「木が生えた!」から始まった、理想のまちづくり
イベント当日は、土木系だけでなく、さまざまな学部や学年の学生が参加しました。
学部や学年を限定せずに募集していたものの、社員の皆さんは、実際には土木を学ぶ学生が中心になるのではないかと考えていたそうです。
ところが、当日集まったのは、専門分野の異なる学生たちでした。
小室さんは、当日の様子を次のように話します。
「土木系の学生が中心になると思っていましたが、学部に関係なく、いろいろな学生が参加してくれました。会社や業界を知ってもらう上でも、うれしかったです。」
Twinmotionを使ったまちづくりが始まると、学生たちは画面の中に木を植えたり、車を走らせたり、天候を変えたりしながら、少しずつ自分たちのまちをつくっていきました。
初めて木を配置した学生からは、思わず「木が生えた!」という声も。
自分の操作によって、何もなかった画面に風景が広がっていく。その驚きや楽しさが学生たちの緊張をほぐし、グループの中にも自然と会話が生まれていきました。
学生のアイデアに、社員の皆さんも夢中に
操作に慣れてくると、学生同士で「ああしよう」「ここにはこれを置こう」と、次々にアイデアが出てきました。
社員の皆さんが答えを示すのではなく、学生たちが自分で考え、話し合いながら形にしていく。社員の皆さんは、その様子を見守りながら、必要なときに操作や制作をサポートしました。

学生と社員が同じテーブルを囲み、相談しながらまちづくり。立場を越えてアイデアを交わす、TOVLABらしい協創の時間となりました。
及川さんは、特に印象に残った場面について、次のように話します。
「木を植えたり、車を走らせたり、天気を変えたりと、リアルにまちをつくれるところで盛り上がっていました。最後にグループごとに発表し、それぞれ違った雰囲気のまちを見ることができたのも印象的でした。」
中には、「移動」をテーマに、車や鉄道ではなく、気球を移動手段として取り入れたグループもありました。
今あるまちの形や交通手段にとらわれない、学生ならではの自由なアイデアです。
佐藤さんも、「学生らしい発想がとても面白かったです。」と笑顔で振り返ります。
学生のアイデアを社員が支え、社員もまた学生の発想から刺激を受ける。学生の自由な発想に、社員の皆さんの経験や知識が重なり、会場では次々と新しいアイデアが生まれていきました。
同じソフトから生まれた、それぞれの「理想のまち」
イベントの最後には、完成したまちを動画にして、グループごとに発表しました。
使ったソフトや制作時間は同じでも、できあがったまちの雰囲気や、大切にしたポイントはそれぞれ異なります。
自然を生かしたまち、移動方法に工夫を凝らしたまち、学生らしい遊び心が詰まったまち。
ほかのグループの作品を見ることで、学生たちからは「そんな考え方もあったんだ」と、新しい気づきも生まれていました。
一つの正解を目指すのではなく、それぞれの意見を持ち寄り、話し合いながら一つのものをつくっていく。
今回のワークには、実際のまちづくりや建設コンサルタントの仕事にも通じる、対話と協働のプロセスが詰まっていました。
学生と社員が、もっと気軽に話せる場へ
中央コンサルタンツ仙台支店がTOVLABでイベントを開催するのは、今回が2回目です。
前回よりも幅広い学部の学生が参加し、アンケートからも、学生が楽しみながら取り組んだ様子が伝わってきたそうです。
一方で、次回に向けて、さらに工夫したいことも見えてきました。
学生たちがまちづくりに夢中になるほど、限られた時間の中では、社員と学生がゆっくり話す時間を十分に設けることが難しかったといいます。
小室さんは、「社員から積極的に声をかけるようにしていましたが、次回は学生と社員がもう少しゆっくり交流できる工夫をしたいです。」と話します。
長太さんも、「事前にリハーサルを重ねて当日の流れを組み立てたものの、実際に始まると想像以上に盛り上がり、時間がぎりぎりになってしまった。」と振り返ります。
制作や発表だけでなく、最後にお茶を囲みながら話せる時間があれば、仕事のことだけでなく、大学生活や社会人の日常などについても、もっと気軽に言葉を交わせたかもしれません。
今回の経験を次につなげ、学生と社員がより自然に関われる場をつくりたいと、皆さんは考えています。
「会社を知る前に、まずは業界を知ってほしい
今後について小室さんは、「会社のことを知ってもらうことも大切ですが、その前に、まずは業界について知ってもらいたい。」と話します。
学生にとっても、社員にとっても、楽しく、何か新しい発見がある時間をつくること。
そのために、今回のように学生と社員が一緒に手を動かし、自然に関われるワークショップを、これからも企画していきたいと考えています。
及川さんも、「次回は、学生と社員がもう少し交流しやすい内容にしていきたい。」と話しました。
学生にとっては、社会人がどのように働き、どのようなことを考えているのかを知る機会になります。
一方で、企業にとっても、学生が何に関心を持ち、どのようなことを大切にしているのかを知る貴重な機会です。
佐藤さんは、次のように話します。
「学生の皆さんには、社会人はこんな感じなんだ、ということも感じてもらえたらと思っています。私たちも、学生の考え方や今関心を持っていることを知ることができるので、一緒に楽しみたいですね。」
企業から学生へ情報を伝えるだけではなく、互いを知り、互いの考えに触れる。
そうした関わりの積み重ねが、学生にとっては新しい選択肢との出会いになり、企業にとっても、次の取り組みを考えるきっかけになります。
「こういう仕事もあるんだ」と知ってもらうために
インタビューの最後に、長太さんから、建設コンサルタント業界の変化と、学生の皆さんへの思いを伺いました。
建設コンサルタントの仕事は、土木に関する計画や設計だけでなく、近年ではDXやデータ分析など、さまざまな分野へと広がっています。それに伴い、社内でも、土木を専門に学んだ人だけでなく、多様な知識や視点を持つ人が力を発揮できる場が増えているそうです。
長太さんは、学生の皆さんに向けて、次のように話します。
「文系の学生にも、『こういう仕事があるんだ』と知ってほしいです。いろいろな分野の学生に参加してもらい、この業界や仕事に少しでも魅力を感じてもらえたらうれしいです。」
専門分野が異なっていても、まずは仕事や、そこで働く人に触れてみる。その経験が、これまで知らなかった選択肢や、自分の新しい可能性に気づくきっかけになるかもしれません。
一緒に楽しむことから、次の協創へ
今回のインタビューで印象的だったのは、4名の皆さんが、学生に楽しんでもらうことと同じくらい、自分たちも一緒に楽しむことを大切にしていたことです。
佐藤さんは、「私たち自身が楽しくなければ意味がないと思っています。」と話します。
実際に当日は、学生だけでなく、社員の皆さんもまちづくりに夢中になり、会場は大いに盛り上がりました。
企業が用意したプログラムを学生が体験するだけではなく、学生と社員が同じテーマを囲み、一緒に考え、手を動かし、互いのアイデアを面白がる。
「理想のまちづくりコンテスト」は、建設コンサルタントの仕事を知る機会であると同時に、学生と企業が立場を越えて関わり、新しい発想を持ち寄る時間となりました。
TOVLABは、学生がこれまで知らなかった企業や仕事、そこで働く人と出会い、自分の可能性を広げていく場所です。
同時に、企業の皆さんが学生の率直な考えや新鮮な発想に触れ、新しい気づきを持ち帰る場所でもあります。
専門知識がなくても、これまで関わったことのない分野でも大丈夫です。
「少し面白そう」
「自分でもやってみたい」
「働いている人と話してみたい」
そんな小さな興味をきっかけに、人と人がつながり、次のアイデアや取り組みが生まれていく。
TOVLABはこれからも、学生と企業の皆さんと一緒に、そんな協創の場をつくっていきます。

イベントを終えて、参加学生と中央コンサルタンツ株式会社仙台支店の皆さんで記念撮影。たくさんのアイデアと笑顔が生まれた時間となりました。
