イベントレポート
2025年6月9日【 地域協創入門E/F】登壇レポート
先日、岩手大学の共修プログラム「イーハトーヴ協創コース」の授業【地域協創入門E/F】に、株式会社ATOMica 代表取締役 Co‑CEO の嶋田瑞生さんが登壇しました。
新緑がまぶしい6月。柔らかな日差しが差し込む教室には、学生たちのワクワクがじわじわと満ちていくような空気が流れていました。
嶋田さんとの“距離感”が心地いいトーク
「仙台生まれ、東北大卒。19歳でゲームを使った起業、22歳でエンジニア、そして24歳でATOMica創業」。そう聞くと、華やかなキャリアの持ち主に見える嶋田さんですが、授業で語られたのは、ちょっと意外で、ちょっと身近な“素顔のストーリー”。
たとえば、小学生の頃にいじめにあっていたこと。起業したての頃、うまくいかなかった話。
そんな経験も笑いを交えながら、包み隠さず話してくれました。「えっ、そんなことも話しちゃうの!?」と、思わず笑ってしまうくらいの自己開示。
だからこそ、学生たちとの距離もグッと縮まっていきます。



Mentimeterで可視化する対話
この日の授業では、インタラクティブツール「Mentimeter」を使って、学生の質問や感想をその場でスクリーンに表示。
「起業で苦労したことは?」「いじめとどう向き合った?」「奥さんとはどこで出会ったの?」など、思わず聞きたくなるようなリアルな質問が次々と飛び出しました。
嶋田さんはその言葉一つひとつを指さしながら、拾い上げ、自分の言葉で丁寧に返してくれます。
単なる“登壇者”ではなく、“向かい合ってくれる人”としてそこにいてくれたことが、学生たちにもしっかり伝わっていたと思います。

「出会い」から始まる物語
授業中、嶋田さんが繰り返し語っていたのは「人との出会い」の話。
「この人に出会っていなかったら、たぶん何も始まっていなかった」と語るその言葉には、どんな行動にも“きっかけとなる誰か”がいたことがにじんでいました。起業も、挑戦も、悩みも、すべては「人」が起点になっていました。
この視点は、TOVLABが目指している「出会い・対話・実践の場づくり」とも深く重なります。
“リアルな声”が心を動かす
Mentimeterには、「起業したくなった!」「話、めっちゃ面白かった」「なんか元気出た」なんて声が並びました。
スクリーンには、趣味として「パチンコ」「麻雀」といった正直すぎるワードも(笑)。でも、こういうざっくばらんな自己開示があるからこそ、空気がやわらぎ、場のあちこちで笑い声が聞こえる時間に。
成功体験だけでなく、失敗や悩みも含めて語られる“リアルな声”に、学生たちは自然と引き寄せられていました。



TOVLABで“つながる学び”
今回の授業は、TOVLABが大切にしている「対話」の空気そのものでした。
誰かと出会い、その人の言葉に耳を傾け、自分の考えを言葉にしてみる――そんなやりとりが、ごく自然に教室の中で広がっていました。TOVLABという“協創の場”があるからこそ、こうしたリアルであたたかいやりとりが生まれたのだと思います。
学生たちは、ただ知識を受け取るだけでなく、嶋田さんの言葉を通して「一歩踏み出す勇気」をもらったのではないでしょうか。
人と出会い、言葉を交わすことで、何かが少しずつ動き出す。そんな“ちいさな始まり”が、今日もこの場所から生まれている
――そんなことを感じた授業でした。